ロリータBLOG
2026/07/25 23:56
発売したばかりの新作に「通常価格12,000円→8,400円」と書かれていたら、その12,000円はいつの価格でしょうか。通販の価格表示のルールと、当店の価格に対する考え方をご説明します。
お買い物をしていて、こんな場面に出会ったことはないでしょうか。
入荷したばかりの新作ワンピースが、はじめから「通常価格12,000円 → 8,400円(30%OFF)」と表示されている。よく考えると、その商品はまだ一度も12,000円で売られたことがないはずです。
では、その12,000円という数字はどこから来たのでしょうか。今回はロリータ・ゴシックロリータをはじめ、通販をよくご利用いただくお客様に、価格表示のルールを知っていただきたいと思い、この記事を書きました。
「元値」には、本当は使えるルールが決まっています
販売価格の横に「通常価格」「定価」などを並べて安さを伝える方法を、二重価格表示といいます。この方法自体は、まったく問題のないものです。
問題になるのは、その「通常価格」に中身がない場合です。
たとえば、洋服屋さんの店頭で「半額」の札がついていたとします。その札に意味があるのは、もともとその値段で店頭に並んでいた期間があるからです。一度も並んだことのない値段からの「半額」は、単なる数字の書き方にすぎません。
消費者庁は、この点についてガイドラインを公表しています。過去の販売価格を「通常価格」として表示するには、おおむね次の条件を満たす必要があるとされています。
・
セール開始前の8週間のうち、過半の期間その価格で販売した実績があること(販売期間が8週間に満たない場合は、その期間の過半)
・
その価格で最後に販売した日から、2週間以上が経過していないこと
この基準に照らすと、掲載したその日から割引表示をしている商品の「通常価格」は、販売実績がゼロということになります。
お客様の側から見ると、何が起きるのか
この表示がお客様にとってどう影響するか、少し具体的に考えてみます。
「20%OFF」と書かれていると、私たちは自然と「本来より2割安く買えた」と受け取ります。ところが元の価格に実績がなければ、割り引かれた分は最初から存在しなかったことになります。
さらに、その割引後の価格を他店の通常価格と見比べて「こちらのほうが安い」と判断された場合、比較の土台そのものが揃っていない状態です。
景品表示法が禁じている「有利誤認表示」とは、まさにこうした状態を指します。実際よりも著しく有利であるかのように見せる表示は、規模の大小にかかわらず認められていません。
なお、国内に販売元のない海外仕入れの商品に、独自の「メーカー希望小売価格」を設定して、そこから値引く表示をする場合も、同じ考え方で問題となるおそれがあります。
「お得だった」はずの買い物が、そうではなかったとしたら
割引の表示は、買い物の後押しになります。20%OFF、30%OFFと書かれていれば、迷っていた商品でも「今なら」と思えます。その気持ちは、ごく自然なものです。
問題は、その判断のもとになった数字が本物かどうかです。
販売実績のない価格からの値引き表示は、お客様の「せっかくなら得をしたい」という気持ちを、根拠のない数字で動かしていることになります。表示だけを見れば確かにお得ですが、比べるための土台が用意されていません。
たとえば、同じような商品を扱う2つのお店を見比べたとします。片方は割引表示なしで9,000円、もう片方は12,000円から30%OFFで8,400円。多くの方は後者を選ばれるでしょう。ですが12,000円で販売された実績がなければ、その比較は成り立っていません。お客様は、正しく比べる機会そのものを失っていることになります。
景品表示法が有利誤認表示を禁じているのは、事業者を取り締まるためというより、お客様が正しい情報をもとに選べる状態を守るためです。
つまり、実績のない値引き表示は、お得に見せながら、その裏でお客様の判断材料を損なっている状態といえます。お客様の利益が、価格表示の設計に組み込まれていないということです。
割引そのものが悪いのではありません。根拠のない割引が、お客様の判断を曇らせてしまうことが問題なのです。
これは大きな会社でも起きていることです
価格表示をめぐる行政処分は、誰もが知る規模の通販事業者に対しても行われています。
消費者庁は2020年12月23日、株式会社ジャパネットたかたに対し、景品表示法にもとづく5,180万円の課徴金納付命令を発出しました。2018年10月に受けた措置命令に対応するもので、対象となったのはエアコン8商品の価格表示です。
公表資料によると、2017年に配布された会員向けカタログでは、自社の通常価格として79,800円(税抜)を掲げ、そこから2万円、さらに会員限定として2,000円を値引きし、会員特価57,800円として表示していました。
問題とされたのは、その「通常価格」の中身です。消費者庁の調査により、比較対象として掲げられていた価格は、最近相当期間にわたって実際に販売された実績のないものだったと認定されました。つまり、値引き後として提示されていた金額のほうが、実質的な通常の販売価格だったということです。
これによって、お客様に「今だけ著しく得である」と受け取らせた点が、有利誤認にあたると判断されました。同社は命令を真摯に受け止め、再発防止に努めるとしています。
この事案が示しているのは、割引の幅が大きいかどうかではなく、比較の基準に実績があるかどうかが問われる、という点です。
違反が認定されると、事業者名・代表者名・対象商品が消費者庁のウェブサイトで公表されます。金額の負担よりも、公表されることによる信用への影響のほうが大きい、というのが実務上の受け止め方です。
そして、この基準は出店先のプラットフォームによって変わるものではありません。BASEの利用規約においても、ショップ運営者に対して景品表示法をはじめとする関係法令の遵守が明確に義務付けられています。
当店が価格表示に慎重な理由
当店は現在のショップと並行して、楽天市場にも出店していた時期があります。
楽天市場では、出店にあたって「楽天大学」の受講が義務付けられています。修了しなければ店舗を開くことができず、そこで学ぶ内容の中に価格表示のルールが含まれています。二重価格表示には実績の裏付けが必要であること、その根拠をいつでも説明できる状態にしておくこと。商品を一点も並べないうちから、そう教わりました。
この経験があるため、当店では新作の掲載と同時に、根拠のない通常価格を設定して割引表示を行うことはしていません。設定しようと思えば設定できてしまう数字だからこそ、そこに手をつけないという判断をしています。
当店の価格の決め方
当店の商品価格は、仕入れ価格、品質、輸送費、関税、検品にかかる労務費などを積み上げて設定しています。
値引きやセールを行わないわけではありません。季節の切り替えやまとめ買いのご相談など、根拠と期間を明確にしたうえで実施しています。
表示している価格が、その商品の価値をそのまま表している状態。当店が保ちたいのは、その状態です。

新作割引表示(有利誤認表示)のイメージ図
お買い物のときに確認いただきたいチェックシート
最後に、通販をご利用になる際の確認ポイントをまとめます。特定のお店を判断するためではなく、ご自身が納得してお買い物をするための目安としてご覧ください。
【価格表示について】
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入荷直後の新作にも割引表示がついていないか その「通常価格」で販売された期間があったかを考えてみてください。新作の値引きが常態になっている場合、比較対照価格に実績がない可能性があります。
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すべての商品が常に同じ割引率になっていないか 全商品が一律の割引率で、その状態が続いている場合、その割引が何を基準にしているかを確認する余地があります。
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割引の根拠や期間が示されているか セールの理由や期間が明示されていれば、価格の裏付けを判断しやすくなります。
【事業者情報について】
通販サイトには、特定商取引法にもとづく表記の掲載が義務付けられています。事業者名・所在地・電話番号・責任者名が記載されているかを確認できます。
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所在地が実在する地番として記載されているか 番地まで記載されているか、地図サービスで実在を確認できるかをご覧ください。番地の記載がない、建物名だけといった場合は注意が必要です。
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事業者名・所在地が短期間で変更されていないか トラブルが生じた際、連絡先が変わっていると解決が難しくなります。
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ショップの名称が繰り返し変わっていないか 過去の評判や取引履歴をたどりにくくなるためです。
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問い合わせ手段と返答の目安が示されているか 注文前の質問に回答があるかどうかは、購入後の対応を測る手がかりになります。
【比べるときの視点】
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割引率ではなく、実際に支払う金額で比べる 最終的な支払額とサイズ・素材・納期を並べて比べると、判断を誤りにくくなります。
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納期が明記されているか 価格以上に、いつ届くかの見通しが立つかどうかが満足度を左右します。イベントや撮影の予定がある場合は特に重要です。
これらに複数当てはまる場合、お客様にとって不利益が生じるおそれがあります。気になる点があれば、購入前にお店へ直接お尋ねになることをおすすめします。

お買い物チェックシートガイドのイメージ図
困ったときのご相談先
価格表示に疑問を感じたときや、通販でトラブルにあわれたときは、公的な相談窓口があります。個人でも情報提供や相談ができます。
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消費者ホットライン 188(いやや) 局番なしの3桁番号です。お住まいの地域の消費生活センターにつながり、通販トラブル全般を相談できます。まずはこちらが分かりやすい窓口です。
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消費者庁 表示対策課 景品表示法にもとづく不当な表示に関する情報提供の窓口です。連絡先は消費者庁のウェブサイトでご確認ください。
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警察のサイバー犯罪相談窓口 商品が届かない、連絡が取れないなど、詐欺の疑いがある場合の相談先です。各都道府県警察に窓口が設けられており、警察庁のウェブサイトから一覧を確認できます。
よくある質問
Q. 二重価格表示そのものが違法なのですか?
いいえ。表示している「通常価格」に実際の販売実績があり、ガイドラインの条件を満たしていれば問題ありません。実績のない価格を比較対象に使うことが問題とされています。
Q. SEASONZはセールをしないのですか?
実施します。ただし、根拠と期間を明確にしたうえで行っています。新作の掲載と同時に割引表示を行うことはしていません。
Q. 同じような商品で価格差があるときはどう選べばいいですか?
割引率ではなく、最終的な支払額・サイズ表記の詳しさ・納期の明示・問い合わせへの対応をあわせてご確認いただくことをおすすめします。
まとめ
割引の数字は、比べるための便利な目印です。ただしその目印が意味を持つのは、元の価格に実績があるときだけです。
当店は、表示した価格をそのままお支払いいただく金額として設定し、値引きを行う際は根拠と期間を明確にしています。安心してお選びいただける環境を、これからも大切にしてまいります。
ご不明な点がございましたら、ショップチャットからお気軽にお問い合わせください。
参考:消費者庁「不当な価格表示についての景品表示法上の考え方」(価格表示ガイドライン)
執筆:SEASONZ 店舗運営責任者
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